阿武隈高原中部県立自然公園に位置する小野町は、標高700メートルを越える山々に囲まれた山間地です。夏井川が流れる町の中央部の標高は約400メートルで、約3万株のツツジが咲き乱れる高柴山や、高山植物の深山(みやま)あづま菊が咲く矢大臣山など四季の彩りがある美しいところです。小野の地名は平安時代この地方を治めた小野篁(おののたかむら)の名にちなんでつけられたといわれています。現在もなお町民の尊崇を集めている矢大神社は、小野篁を祭神としています。また、篁の娘とされているのが、平安時代初期に活躍した女流歌人で絶世の美女だったとされる小野小町と伝えられているようです。
小野町では、人口の拡大を図るため、平成19年より、定住・二地域居住を積極的に推進し、各種支援事業を行っています。豊かな自然のなかで里山生活を始めようと、都会から小野町へ移住された方もたくさんいるようです。
◯ふるさと暮らし応援事業
◯ふれあい農家民宿開設応援事業
◯ETC・らくらく通勤応援事業
◯町有林おすそわけ事業
◯ようこそ小野町定住祝金交付事業
◯夢のある農業後継者育成事業
◯空き家情報の収集・情報提供
など、ユニークな支援事業で田舎暮らしをバックアップしています。
小野町公式サイト(←クリック)
◎「ゆたり旅」居心地のよい場所
夏井千本桜(福島県小野町)
今回「ゆたり旅」に選んだのは、小野町にある「夏井千本桜」。数年前から磐越自動車道を通る度に気になっていた風景。高速道路から眼下に広がる桜並木は、まるで桃源郷のような淡く儚い美しさに満ちていた。遠くからほんの一瞬だけ顔を覗かせるこの桜並木こそが、夏井川の流れに沿って咲く1,000本のソメイヨシノだったのだ。昭和50年に植林され、南北に約2.5km(往復5km)の見事な桜並木は、毎年4月20日以降が見頃で、近年7万人以上の花見客が訪れている。
のんびりと散歩する老夫婦、桜の木の下のカップル、シートを敷いてお弁当を食べる家族、露店の賑わい、穏やかな川の流れ、鳥のさえずり・・・。山々に囲まれた夏井川の土手は、映画のワンシーンに迷い込んだ錯覚に陥る。夏井千本桜はとても優しくのどかな山里で、久々にゆたりとした時間を感じさせてくれた。
少し残念だったことは、イベントを盛り上げるためであろうか、スピーカーから流れる大音量の音楽(演歌・民謡)は耳ざわりだった。人工的な音ではなく、鳥や風や川のせせらぎといった自然の音で充分だと感じた。あるいは、合唱、弦楽四重奏や邦楽などの生演奏とか・・・(予算がなければサクラ募金を募る〜7万人×10円=70万円・・・可能か?)。往復5kmある並木を歩くにはなかなか難があり、一部しか利用されていないのがもったいなかった・・・(屋形船で往復5kmの遊覧〜川の水量が少ないから無理か・・・馬車での有料周遊〜歩行者の邪魔になるか・・・いくつかポイントに観覧エリアをつくり、オープンカフェや青空市場・・・ゲーム感覚で完全桜観制覇ラリーとか・・・)。余計な妄想を描いてしまう。いずれにしても、千本桜があれば何もいらないのだが。
そういえば、外国人がしきりに鯉のぼりの写真を撮っているのを見かけた。外国人からすれば空を泳ぐ大きな魚は、とてもエキゾチックな代物であろう。日本の原風景が減少する昨今、桜や鯉のぼりのような世界に誇れる日本の風物の大切さを、あらためて考えさせられる旅でもあった。
あと10年、あと100年が過ぎたら、どんな桜並木になっていることだろう。きっと小野町にとって大きな宝になるのではないだろうか。町民が皆で植えたソメイヨシノが桜の成長とともに、小野町の未来が開花することをこころから祈りたいものだ。(YT)
「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)