第一話〜第十九話はゆたり出版の「かさまのうつわ」に再編集し収録されています。「かさまのうつわ」はネット通販、書店、販売協力店でお買い求めできます。詳しくは本とゆたりをご覧ください。
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フェイスブック、ツイッター、インスタグラム…。SNSを使って自身の近況を発信するのが一般的になった今、若手の陶芸家の中にも作陶の様子や個展のスケジュールなどを上手にSNS上に載せている人たちがいます。今、作っているもの。今、考えていること。それらを多く発信している作家の一人が沼野秀章さんです。
陶芸家になる道は人それぞれ、千差万別ではあるけれど、実業団のスポーツ選手が陶芸家に転向したという例を、私は他に聞いたことがありません。笠間に2002年に築窯した戸田さんがその人でした。
少し胸をそらすようにして粉引の柔らかな灰白色の空を飛ぶ鳥。陶炎祭をはじめとする陶器市などで馬目隆広さんのブースに並ぶ鳥紋のカップは、見る人の心を明るくする朗らかさをまとっています。
水泳、サッカー、剣道にボクシング…長嶺さんがこれまでやってきたスポーツをそのまま表したような太い腕を眺めながら、でも私が数年前の陶炎祭で一目ぼれした繊細なしのぎの器は、この手から生まれたのだなあと感嘆していました。
笠間には大きな窯元が現在8軒あり、その中でも最大手といえる向山窯には常に十数人の作り手が所属しています。この向山窯に長嶺さんが入ったのは19歳のときでした。
今は亡き作家の向田邦子さんは器好きでも有名でした。その向田さんが、器選びをする時のことを「店に入ると、肩の力を抜き、なるべくぼんやりと見回し、その時目があってしまったものの前に、まず立ってみるのだ」と書いています。ある日、笠間のギャラリーでそのことを思い出し真似してみた私とぱっと目があったのが、陶器の中になぜか並べられている木の角皿でした。薄いグリーンに波打つ木目。でも、木肌がグリーン?と思って近寄って触れてみると、肌触りがひやりとして持ち重りがし、それは驚いたことに陶器だったのです。
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