ゆたり倶楽部

[自然派レストラン] 記事数：48

◎自然派レストラン

旬菜厨房ひさお
[栃木県宇都宮市]

心と身体が喜ぶ家庭料理を―。
野菜から思いを込めて作る、隠れ家的存在の小さな名店

この記事は、2011年2月に作成したものです。現在、「旬菜厨房ひさお」は閉店されています。
　宇都宮市役所の西側、ひっそりと奥まった路地の先にある「旬菜厨房ひさお」。2010年8月にオープンして以来、知る人ぞ知る隠れた名店として、ひそかに注目をあびている小さなお店です。

　入口へ続く階段をのぼり、麻の暖簾をくぐると季節の草木がお出迎え。一歩足を踏み入れば、吹き抜けのある店内に、真空管ステレオから流れる透き通った音色が心に響き、一瞬にして安らぎの時間へと導いてくれました。
　「お客様に召し上がっていただきたいのは、『飽きない食事』。旬の食材を活かし、一品一品心を込めて調理しています」と、店主さん。昼は多種類の総菜が人気のおまかせランチ、夜は先付からご飯ものまでの本格コースとして、お客様がゆっくりと味わえるこのお店の料理。それは、私たちが日常的に作り、食べる馴染み深い家庭料理が中心になっています。焼き魚、出し巻き卵、切干大根、卯の花…。日本人として生まれた時から、忘れることなく生涯記憶に残るあたたかな故郷の味。どの料理をいただいても、その懐かしくやさしい味わいに、自然と顔がほころんでしまいました。

　「うちの家族はみな餡子が好きで…。デザートでお出しする餡は、もちろん自家製。好きすぎて、小豆から作ってしまうんですよ」そう笑顔をみせる店主さん。お食事で使われる野菜の多くは、店主さんのお父様「ひさお」さんが作られるとか。「美味しいだけでなく、安心していただけるものを提供していきたいんです。心が喜ぶ料理は、身体も喜ぶ。そんな風にお客様が喜んでもらえるのが、また嬉しくて…。毎日、生き甲斐を感じながら、父も私も家族一丸となって野菜を作り、料理しています」
　家庭料理―。それは素材を作る人、料理を作る人の思いやりに溢れた、世界一贅沢であたたかな料理なのかもしれません。(m.m.)