ご利用規約プライバシーポリシー運営会社お問い合わせサイトマップRSS

[ゆたりやの亭主] 記事数:256

< 次の記事 | 前の記事 >

父のお墓参り

このエントリーをはてなブックマークに追加

     お彼岸はお墓参り・・・。
     そんな習慣は父が亡くなってからのことだった。

     僕の両親の実家(本家)は北海道にある。
     遠いこともあってか、我が家には墓参りに行く習慣がなかった。
     だから、僕は子供の頃から一度も
     先祖の墓へ行ったことがない・・・。

     そんな僕が、墓参りに行くようになったのは
     自分で父のお墓を建ててからだった・・・。

     僕の父が亡くなったのは僕が32歳の春だった。
     もう18年も前のことだが、つい昨日のことのように憶えている。



     父が亡くなったその年の秋。
     僕はそれまで7年間勤めていた広告代理店の
     クリエイティブ部門から独立を決心したのだった。
     動機は単純で、勤めていたの会社の賃金では
     結婚は勿論、母を養っていけないと思ったからだ・・・。

     近年ほどではないが、バブル崩壊後の独立起業は
     苦しい船出となったことは言うまでもない。

     独立当初から8人という大所帯だったこともあり、
     資金はすぐに底を尽いてしまった。
     僕の僅かな蓄えや父が遺してくれた貯金を
     スタッフの給料として補填し、
     自分の報酬はゼロという月が続いた。
     もちろん、銀行は1円も貸してはくれない・・・。
     文字通り自転車操業でスタッフの方々には
     いろいろと不安をかけたに違いない。

     独立をきっかけに徐々に仕事の依頼が増え
     少しずつ資金繰りがうまく行きはじめた頃、
     今の妻と結婚することになり、運転免許だクルマだと
     再び自己資金の底が見えてきた。

     そんなこんなで、お墓を建てるどころではなく
     かといって、北海道のお墓では遠すぎるということもあり、
     亡くなった父には申しわけなかったが、
     しばらくの間、父の骨壺はお寺さんにお願いして
     預かってもらっていたのだ・・・。

     もちろん、お彼岸と命日にはお寺さんへ行き
     ご住職さんにお経を読んでいただき、お線香をあげる・・・。
     お寺の本堂に安置されていた父の骨は
     毎日お経とお線香をあげていただけるので
     それはそれで安心だったのだが・・・。

     「パパ。もう少しの辛抱だから、ごめんね・・・。」
     ・・・胸の内はいつも肩身の狭い思いだった。

     やっと、仕事も生活も安定して来たのは
     結婚して2〜3年過ぎた頃だろうか・・・。
     仕事の合間に新婚旅行にも
     人並みに行かせていただいた。
     しかし、気になっていたのはやはり父のお墓のこと。
     親孝行できなかった父への
     恩返しをちゃんとしなければと思った。

     いろいろと探してはみたが、
     どこに建てればよいのか、
     なかなか決めることができないでいた。
     ある日、義理の両親がお墓を移築するから
     一緒に建てないかという話しがあった。

     そのお寺さんでは、新しく墓地を広げるというのだ。
     妻の先祖のお墓は山の上部にある。
     両親は年齢とともに登るのが大変になることを理由に
     新しくできる下部の墓地に移動するというのだ。

     しかも、大洗はフェリーで北海道までつながっている
     旅好きの父もフェリーで北海道へ行けるじゃないか・・・。
     いろいろ悩んだ末、大洗のお寺にお墓を建てることにしたのだ。

     お墓参りなんてまったく縁のなかった僕が
     お墓を建てることになった・・・。

     先祖のお墓ではないけれど、先祖のことを考えるようになった。
     先祖のことを考えることで、自分をみつめ直すことができた。
     お墓の存在や墓参りの大切さだけではなく、
     命のことや生き方について、いろいろなことを考え
     僕なりに理解できるようになった・・・。

     先日もお彼岸はお墓参りへ・・・。
     お墓参りは気持ちがスッキリするから好きだ。



お立ち寄りの再にはポチっ!とお願いいたします。

» Tags:, , 彼岸, 墓参り, 仕事, 独立,

Trackback(0) Comments(12) by Yasumine|2010-03-24 13:01

▽コメント▽
Commented by つき 03/24 15:10

お墓参りをすると、どうして気持ちがスッキリするのでしょうね。
私も連休中に行ってきました。

Yasumineさんの創業時の大変だったこと。私の想像をはるかに超えていると思います。

話が変わってしまってごめんなさい。

先日ラジオを聴いていたら「『大変』という文字は、大きく変わると書くでしょう。
ピンチはチャンスなのですよ」という話をされていました。

大変がこわくて、守りに入ってばかりのダメダメな私です。
どうしたものか。。。

Commented by マドンナ 03/24 16:16

いとしいひとに
ひさしぶりにあいにいく
はかまいり
わたしも
すきです

Commented by Yasumine 03/24 20:35

つきさんもスッキリですね。

大変=大きく変わる!
そうなんです。
エネルギーが必要ですね。
大きく変えることは大変なのです。

世の中はいま大きく変わろうとしています。
でも、変わらないものもある
変わらなくていいことも
変わってほしくないことも
たくさんあります。

選択肢もさまざま。
とても面白い時代に
生きているのだと思います。

Commented by Yasumine 03/24 20:37

マドンナさん。
ぜんぶひらがな?のコメントありがとう。
あいにいけるばしょがあることは
とてもうれしいものです。
もうすぐサクラのきせつです。

Commented by マリサ 03/24 23:13

Yasumineさんにとって32歳は転機だったんですね。
いろいろ考えます…。
私はなかなか身近な人の死を経験せずに成長したので、
お墓に行って清々しい思いを感じたのは5年ほど前です。
お墓という形でその人の存在を改めて認識できるというか。
怪談に登場するお墓のイメージよりもずっと温かく、
「会いにきたよ!」って気持ちになりました。

Commented by Yasumine 03/25 09:52

マリサさん。
そうですね転機。転がる機会??
でも、大変な時もいろいろな方々に
支えられて生きています。
感謝の気持ちはどんどん増すばかりです。

それと、若い時は自分のために
生きていましたが、30過ぎてから少しずつですが
誰かのために・・・と考えるようになりました。

Commented by Yamepi 03/25 14:55

あの冷たい雨の夜からもう18年もたつのですね…
両家のお墓が同じ場所にあるのは実はワタシの理想です

実家のお墓を建てるとき、すべてのことを一任され
お墓のことばかり考えたときがありました
そして、お墓は亡くなった方のためというより
残された者のためにあるのだと思うようになりました

Commented by Yasumine 03/25 19:02

Yamepiさんにも
助けていただきました。
感謝しています。

Yamepiさんも任された方なのですね。
いろいろありますからね、
さぞ気をつかわれたことでしょう。
仰るとおり、お墓は残された遺族のために
あるのだと思いましたよ。

いまでは満足しています。
方向音痴の母には少し遠いので
一人では行けませんが。

Commented by 通りすがり 03/26 00:09

そうですか18年にね〜
月日に過ぎるのは早いですね・・・合掌
by蕎麦食亭

Commented by kotomami 03/26 01:12

ん~
大変だったのですね。
何だか 勝手に安心しちゃいました~

創業時の苦労…
胃がキューンと絞られるような痛みを
私も今 感じちゃってます。

でも あの時は大変だったな~
なんて言える時を迎えられるよう

ゆるゆると繋がる喜びと感謝の気持ちを
忘れずに

頑張らなくっちゃ!!
ですね(^v^)

Commented by Yasumine 03/26 10:42

蕎麦食亭さん
ご無沙汰さまです。
いろいろとお世話になりました。
早いですね時の過ぎるのは。
蕎麦食亭さんも
最近、猛烈にアップしていませんか?
とても素晴らしいと感心してます。

Commented by Yasumine 03/26 10:55

kotonamiさん。
安心しましたか?
でも、常に安心できないのが経営です。
牛のような胃袋じゃないと
身がもちませんね。


□この記事のリンク元

[ゆたりやの亭主] 記事数:256

< 次の記事 | 前の記事 >

» 最近の記事
» カテゴリ
» 以前の記事
» 最近のコメント


ゆたりブログ



「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)