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[ゆたりやの亭主] 記事数:256

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田園の向こうで

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     黄金色の絨毯を敷き詰めた田園に
     収穫の季節がやってきた。
     この美しい田園風景は農家の方々が汗水流して
     働くことで守られてきた日本が誇る「文化財」。

     現在、日本の農業人口の50%以上は、
     65歳以上の方々が営んでいる。
     5年後にはその方々も70歳を迎え、
     引退する方も増加の一途を辿るばかりで、
     一度に多くの農業就業者が減る時が来る。
     国も県も就農促進の活動をしているが、
     目標の人員には達しておらず、
     未だに外国人労働力に頼らざるを得ない。



     このことが、どんな結果をもたらすかは、
     少し想像しただけでも理解できる。
     荒れた耕作放棄地が激増し、雑草が水路や畦道をのみ込む。
     美しい日本の田園風景は徐々に荒れ野となり
     水田の生き物は激減してしまう。
     もちろん、現在39%の食料自給率は
     さらに20%代となり、国産はもちろん
     世界的食糧難で輸入食材も高騰する。

     そんな危機感を抱いている方は
     僕の身近にも少なくない。

     最近、大企業やファンドがビジネスチャンスと考え
     大規模な投資や生産農場の経営にのりだした。
     農業法人を組織する農家や企業も増えている。
     工場のような大型のハウスに、
     土を使わず養液のみで栽培する先端農業や
     コンピュータで管理された栽培システムなど
     さまざまなアイディアやテクノロジーが利用されている。
     また、温暖化により北限南限の線引きが変わり、
     南の農産物を栽培することが可能になってきたことで
     新たな栽培のチャンスとも言われている。

     これも時代の流れなのだろうか・・・。
     最新の栽培技術で安定供給というのがこれからの農業だ。

     最近、有機的農業のことを少しかじったが
     農薬だけが有害物質ではない。
     堆肥にも有害物質は含まれているし、
     人によっては有機的野菜だって健康に与える
     影響はあるらしいのだ。
  
     そこで現在、自然農を勉強中。
     健康な人間に薬は必要ないのと同様に
     健康な土と野菜にも薬はいらないというのが自然農。
     まだ、自然農を営む農家はコンマ数パーセントしか存在しない。

     早く育てようとか、大きく育てようとか
     虫がつかないように育てようとか・・・。
     スーパーに並んだきれいな野菜を見ると
     かなりの規格外商品が捨てられていることが想像できる。
     曲がったり、小さかったり、色が悪かったりすると
     味には問題なくても店には並ぶことはない。
     できるだけ美しい規格商品を生産するには
     健康な野菜に化学肥料を投入しなければならない。
     これが人間のエゴ・・・。

     ところが、自然農は雑草すら刈らない。
     化学肥料も農薬も使用しないというのだ。
     虫には虫の天敵がいるし、草はヤギが食べる。
     とにかく健康な土と太陽と水があれば自然に育つというのだ。
     会社の畑でつくった野菜も無農薬無肥料で
     立派に育って美味しくいただけるわけだから、
     形や色艶に惑わされなければ可能なのだろう。

     「人間のエゴが生んだ、間違いだらけの消費者サービス」
     もっと甘く、もっと青く、もっと赤く、もっと真直ぐに
     もっと艶が、もっと大量に、もっと迅速に、・・・そしてもっと安く?
     いつまでもやってなさい!って言いたくなる。

     事故米や食品偽装問題は後を絶たないが、
     安全な食とか、農水省がどうだとか騒ぐ前に、
     僕たち消費者も農業のことをもう少し知る必要があると思う。
     何が大切なのか、何が本当なのか・・・。
     本質が問われる時が来たのかもしれない。




ご覧いただいたついでにこちらも↑↑↑ポチッと!ありがとうございます。

     

» Tags:農業, 田園風景, 就農, 先端農業, 自然農, 有機農業,

Trackback(0) Comments(10) by Yasumine|2008-09-16 13:01

▽コメント▽
Commented by 蕎麦喰亭(ミナカワ) 09/16 17:42

素晴らしいブログですね、
寺島様のポリシーがすごく伝わってきます。
私も近いうちブログに参加させていただいてもよろしいでしょうか?
護国神社のコンサートどうにも都合がつきませんで、とても残念です、、、蕎麦喰亭

Commented by Yasumine 09/16 18:15

蕎麦喰亭(ミナカワ) さま
コメントありがとうがざいます。
お褒めの言葉、大変恐縮いたします。
プログ、ぜひぜひ参加お願い申しあげます。
蕎麦ブログでしょうか??
いつでもお声をかけてください。

Commented by こみみ 09/16 21:00

ただ長男だからという理由で農業を継がなければならないのは、きつい生き方だと思います。たとえば作物の企画生産から販売に至るまで、流通経路や宣伝を含め生産者がトータルにプロデュースする会社組織のような運営方法とか、農業の在り方自体、家族経営を超えてもっと多様化できないものでしょうか。あと、農家の跡継ぎではなくてもその道でやっていきたい人自分にレクチャー付きで田畑を貸与するシステムとか。
門外漢なので的を得てないかもしれませんが…。

Commented by Yasumine 09/17 10:21

こみみさま。コメントありがとうござます。おっしゃる通りです。農家の長男ということで後継者を決めるのはおかしな話しですね。戦時中は、日本農業実践学園(水戸市内原)は、農家の長男が後継者として勉強する学校だったようですが、農家の次男は、満蒙開拓青少年義勇軍の訓練所(内原の鯉淵学園)などで訓練を行い、満州に送り込まれたようです。とても封建的だったんですね。
流通の問題ですが、実際には農家の方も直販が一番利益があるわけで、新しい流通経路を確保し始めていますし、農家が自分で価格を決めて直販したり、契約販売で売上げを伸ばしている農家も増えています。もちろん、組織的にそれをおこなっている農業法人もかなり増えています。また、就農受け入れや体験イベントなどを積極的に行っている農家も存在するのです。就農準備校や農業インターンシップなどでの体験や、農業経営士の方から講義を授けることもできます。耕作放棄値も思った以上に安く貸してもらえますし、農業の現場は思った以上に進歩、多様化しているのです。しかし、進化しすぎているのが、大金を投資しないとシステムを構築できない先端農業です。これが借金をつくり、人件費や燃料費など維持費を大きくしています。現在、農業企業化の大きなビジネスモデルになっていますが、この現実が、個人の新規就農者へのモチベーションを下げることにならなければ良いのですが・・・。

Commented by こみみ 09/17 16:12

詳しい説明をありがとうございます、勉強になりました。
それにしても新たな展開には新たな問題が起こるのですね。
難しい。でも今のままで良いわけないことだけは分かります。

Commented by 夏 09/17 16:47

人間のエゴ、確かにおっしゃる通り。
虫が食わず、大きくてすんなりきれい。甘くなくてはいやだ。泥が付いていてもいやだ。でも安心なものが食べたい。農薬もいやだ。しかも安いものがいい。

一度あなたが作ってみなさい、とゲンコツがきそうです。

一消費者なだけの私はえらそうなことは何も言えません。ただ、農薬がどうして必要なのか、野菜の適正な価格、どうして年中同じ野菜が手に入るのか、等々まずは知ることが大事だと思っています。

何も知らない受け身なだけでは、何も始まりません。

発信する側も受ける側も、変わるべき時期なのでしょうね。

Commented by Yasumine 09/17 21:55

◎こみみさま
僕も勉強中の身なので偉そうなことは
言えないのですが、生きるうえで
本当に大切なのが食であり
それを支える農はとても奥が深い・・・
そして、とてもクリエイティブな
仕事だと感じています。

Commented by Yasumine 09/17 22:19

◎夏さま。
嬉しいコメントありがとうございます。
人間のエゴは農作物だけではなくて
いろいろな商品やサービスに
当てはまるんですけどね。
適性価格っておそらく破壊されているし、
旬を楽しむことすらできなくなる。
夏さんが言うように、
まず知ることが大事なんです。

Commented by Yummyです 09/19 20:50

こんにちは!コメントを
ありがとうございます。
ぜひよろしくお願いします。
すてきなブログですね。
いろいろと勉強させてください。

Commented by Yasumine 09/20 17:16

Yummyさん。こんにちは。
台風の後の爽やかな秋の風が
心地よい一日です。
お褒めのコメントありがとうございます。
僕自身ブログ初心者ですが、
ブログってとても楽しいものですね。
「ゆたり」も10月31日でやっと一歳。
まだまだこれからです。


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