ゆたり倶楽部

[自然派レストラン] 記事数：48

◎自然派レストラン

つくば食堂花
[茨城県つくば市]

茨城の豊かな環境で育った野菜を主役に
つくばのおいしい食卓を分かち合う

　菩提樹の木が、店へ来る人を温かく迎える「つくば食堂花」。店主、植田泰成さんが作る野菜が主役の和食料理が人気で、ランチ30食はいつも完売です。

　オープンは2011年2月末。苦難を乗り越えての船出でした。店の改装ひとつひとつを植田さん自身で完成させてオープンにこぎ着けた矢先、東日本大震災に襲われます。努力を重ねて作り上げた希望いっぱいの店内で、食器が割れ落ちる音が響き続けました。「何のために店を開いたのか、奇しくも震災が僕に覚悟を決めさせたんです」。植田さんは震災後の混乱の中でも店は開け続けました。「僕の出身地でもある茨城のおいしい食べ物を、誰もが安心して食べてもらえる場所にしたかったんです」。
　東京で十数年和食の修行を積んできた植田さん。その時に驚いたのが茨城の食材の素晴らしさだったと言います。「恥ずかしながら、実家にいたときは知らなかった」。全国屈指の生産量を誇るトウモロコシの甘さや、利根川に育まれる有機米とその米を使った味噌のおいしさ。食材の宝石箱のような故郷の底力がありました。
　店での料理は、植田さんが選ぶ「顔が見える食材」で作られます。仕入れ時にその日のおいしい野菜を見て、その日のおいしいメニューがテーブルに運ばれます。「野菜そのものがしっかりしているので、味付けは引き算することのほうが多いですね」。茨城の恵みで作られる料理は、シンプルだけど職人技がきっちり施してあり、旨みや食感がきちんと際立つおいしさ。野菜を主役に魚も肉も食べられて、豊かな食卓を皆がおいしさを分かち合っています。