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[まいにちが、記念日] 記事数:575

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この本、読んだよ#024「走ることについて語るときに僕の語ること」

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2月の一番最後の日曜日。東京マラソンが開かれました。
スポーツ観戦が特に好きというわけではないのですが、マラソンや駅伝はゴールするまで目が離せません。

ルールが分かりやすいこともあるけれど、これほどまでに熱心に応援するのは、
レースの中に、自分の人生を重ね合わせてしまうからかも知れません。

今回の藤原新選手の活躍。
実業団をやめて、フリーで行くと決めたこと。
支えてくれる家族はあったにせよ、精神的な孤独に打ち勝った結果の勝利だと思うのです。

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マラソンを見終えた日曜の午後、図書館へ。
ふと手に取ったのは、村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」
 

村上春樹の著書はほぼ読んでいるんではないか、と思うくらいのファンだったけれど、著者自身のことはまるで知りませんでした。

どうして作家になったのか。
どうして、走るのか。

その答えを、下記のように記しています。

「僕自身について語るなら、僕は小説を書くことについての多くを、道路を毎朝走ることから学んできた」
(著書より引用)

自分を「不完全な人間」、「限界を抱えた一人の作家」と表現する謙虚な村上さんだからこそ、濁りのない美しい物語が描けるのだとこの本を読んで納得したのです。

この本の中で、何度も読み返した部分があります。
それは村上さんが初めて走ったフルマラソン、真夏のアテネの章です。

そこには決してかっこいいとは言えない、ランナーの姿がありました。
わけもなく腹をたてたり、喉がかわいたり、暑さと闘い等…。

かっこよい人生だけが、いい人生じゃない。
そんなふうに思えてきます。

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話を東京マラソンに戻すと、藤原選手をすごいと感じたのは、孤独でも、実業団から離れても2位になったということではない、ということを付け加えておきます。
レース後のインタビューでも笑顔はあったものの淡々としていたこと。
いい時ばかりじゃない、でも、希望を捨てずに粘り強くやりぬくこと。
その輝きを伝えてくれたから。

そんな生き方をしたい。そう思った一日でした。

 
「走ることについて語るときに僕の語ること」
村上 春樹・著  文藝春秋

Trackback(0) Comments(2) by つき|2012-03-01 18:06

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