理想と現実のすき間を埋めるもの。
言い訳。
愚痴。
現実逃避。
…そして、嘘。
嘘はいけないことだけれど、
不本意につく嘘もある。
「嘘も方便」って言葉もあるくらいですし。
約束を守ることが、絶対的「善」ではないのではないか、連日の国会の様子を見て、そんなふうに感じてしまいます。
「マニフェスト」という名の約束に縛られている人々達を見て、
「約束だけがすべてじゃないよ」と心の中で言ってみる。
この人たちは、縛られないことで、もっともっと力を出せるんじゃないかと思ってしまうのです。
約束を全部守らなくても、「嘘つき」なんかじゃないよ。
私たちは、もっともっとその先を見つめて、あなたたちに未来を託したのだから。
短編集「嘘つき」は、相手を思いやる、優しさからうまれる10この嘘の話でできています。
寝る前に、1つずつ読んでいます。
ちょっとだけ、せつなく、悲しい。
そして嘘からうまれる、相手への思いやりに、
生きるって悪くないなと、カサカサした心が共鳴するのです。
きっと。
本当のことを話せばそれはそれで完結するでしょう。
けれど。
実は本当でないことの方に、その人の真心であったり、
愛情が含まれていることのほうが多いのかも。
…なんて。
10作品の中で、西加奈子さんの「おはよう」が特に好きです。
学生時代から同棲生活を送る2人。
結婚することもなく、かといって離れることもなく。
一緒にいるのに、「おはよう」も「おかえり」も言わない朝子。
どうして、彼女は言わないのか。
プロポーズをして初めて知る、彼女の「両親」がついていた優しい嘘。
人の言動がすべてを映し出すわけじゃない。
優しい嘘で、誰かを幸せにできるなら、嘘もそれほど悪くないのかも知れません。
「嘘つき やさしい嘘十話」 ダヴィンチ編集部
メディアファクトリー
Trackback(0) Comments(4) by つき|2009-11-05 20:08
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