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[鯨エマの海千山千] 記事数:1742

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役所にて

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何度行っても、何をしゃべっても、結果的に腹を立てて帰ってくるのが
「役所」です。

まさに待機児童の渦中にハマってしまった我が息子ですが、
保育所が定員を増やしたり、
新しく開設されたりするお知らせが来まして
再度、申し込み内容を整理しなおす必要が出てきました。
最初に申請書を提出した時は
几帳面な夫が
「不備があってやり直しになるといやだから」
といって、窓口で役所の職員に面と向かって説明を受け
万全の態勢で書類を提出しました。

そうしたら、次の日に電話がかかってきて
「不備があるので再提出を・・・」というので、
夫はぶっちぎれてしまいました。
私のほうがけんかっ早いので、本当は行きたくないのですが
夫が切れたならしかたない・・・それ以降は私がやり取りしています。

で、面倒な再提出は郵送で済ませたのですが、
すぐに電話がかかってきて
「11月から働き始めたなら、就労状況を提出してください」というのです。
申請した時に出したのに、またですか?!
といいたいのをグッと我慢。
ここで反抗して、保育園が遠ざかったのでは元も子もないですからね。

私の就労状況は、時間も曜日もグチャグチャ。
役所の職員が見て、納得いくようなものではないのですが
うそを書くわけにもいかないのでありのままを書いてみました。
書くほどに、ほんと、実入りの少ない仕事であることを痛感・・・
再提出が嫌なので、1回で済ませるために持参しました。

窓口に行くと、「提出してください」といってきた女性は昼ご飯をたべているとかで、
別の、私と同じ年頃の女性が出てきて対応しました。
かんじゅく座の稽古と、わずかな介助は、だいたい始業と終業の時間がわかりますが
家でやっている事務作業&執筆は、なんとも、あやふやです。
しかし、夕飯が終わって寝るまでと考えると
21時から深夜2時ごろまでか・・・・1日5時間は机に向かっているけど、
その間に、息子はギャンギャン泣くので
オッパイあげて、オムツ替えて、夜泣きのために散歩に行って、
ということを繰り返しているのがここ2~3か月の状態です。
女性職員は、すかさず聞いてきました。
「夜の事務作業の間に、育児なさってますよね?」
「はい」
「だいたいどれくらいですか?」
「日によって全然違うので何とも言えませんね」
「だいたいでいいです」
「日によって、全然違うんです。夜泣きだってずっと泣いている日もあれば・・・・」
あきらかに「こまったあな」という表情。
「夜泣きはどれくらいの間、泣いてるんですか?」

あほか、こいつは・・・・。

「ですから、赤ん坊が泣く時間は決まってないんです!!!」

やばい、また怒ってしまった。
役所というところに行くと、なぜこれくらいのことで腹が立つのだろう。
いや、これは腹が立つよね。
職員は私の怒りを察知して
超平身低頭に続けました。
「だいたいの時間がわからないと、点数がつけられないんです・・・」
そう、そうなのだ、
この職員があほなのではなく
あほにさせてしまっているシステムが悪いのだ。
「じゃあ、点数を稼ぐにはどう書けばいいんですか?」
と、ズバリ聞いてみました。
「長時間働いていて、ちゃんとお金を得ている状態がいいです」
しかし、私の就労状況は、働いている時間に対して稼ぎが少ないので
これでもいいのかと聞くと
「はい、大丈夫です。働いててお金を得られていない人はだめなんですが
ちゃんと、これくらい収入があるなら大丈夫です」

おい、まてまて。
働いていてお金を得られていない人のほうが問題なんじゃないですか?
・・・・・と、突っ込みたかったけど
これ以上、この場所にいたくないので
さっさと済ませるために
「じゃあ、仕事の合間の育児は1~2時間ということで」
と、いってしまった。

うそではないけど、正しくもない。
こうやって生活を数字にしなければならないのだから
これが常の障碍者や高齢者は、ほんとうに大変だろうなあ。

役所に行くたびに、
「国の制度などに振り回されず、無人島で自給自足でくらしたい」
と思うのは、私だけでしょうか・・・・
「俺もそう思う」
もう一人、同感してくれたのは、夫でした。
こんなところで価値感があうというのは、いいんだか、悪いんだか。

*****
次の日。
私がいつものように、息子を抱っこして、
鉛のように重たい荷物を抱えて稽古に行こうとすると
マンションの上に住む80代のおばあちゃんが
「あらぁ、たいへんね」というので
「保育園、入れないですからね」というと
「うそでしょう?!そこの保育園もダメだったの?あたしが言ってやるわよ」

言ってやるって・・・いったいどこに言うというのでしょうか。

「いまは保育園に直接じゃなくて役所に申し込むんですよ」
「それだってさ、あたしがガンと言ってやれば入れるんだから!
そういうもんだよ」

いいなあ、それができたらなあ。

そして、あの役所の職員と、おばあちゃんが向かい合っているところを想像してみるのでした。
99%いい結果にはならない気がするけれど
1%、奇跡が起きるかもしれない気がします。

おしまい。

Trackback(0) Comments(2) by 鯨エマ|2016-12-22 23:11

▽コメント▽
Commented by 志村建世 12/25 23:55

何か言ってあげたいが、何を言ったらいいかわかりません。強いて言えば、少しでも赤ん坊の面倒を見に行ってあげたい。近所でもなし、できっこないのに。
 少子化対策だなんて、少しでもやる気があるのか、この国は。次の芝居のテーマにしませんか。

Commented by ema 12/27 00:05

志村さん、ありがとうございます。そのお気持ちに涙が出そう。昔は子供を預けるなんて信じられなかったでしょうね。
でもいまは、預けたい人がいっぱいです。
それは、夫の給料では食っていけないからです。そういう、結婚も出産もできないような安月給の男がいっぱいいる。このことも、切実ですよ。しかも、サービス残業でへとへとになって帰ってくるんですから。
ひとつの問題に、いろんな原因が絡み合っています。でも、縦割りで解決しようとするから、なかなか変わらないんです。


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