シニアのマクベス

鯨エマの海千山千　演劇・映画創作生活

BLOG by 鯨エマ

[鯨エマの海千山千] 記事数：1742

大きな公演が２つ終わった、かんじゅく座は、
ちょっとゆとりを持った稽古をしています。
いつも、役のこととか、みんなでディスカッションしたくても、
みんなそれぞれのセリフを覚えなきゃ！ということで、
頭がいっぱいになりがち。
でも、セリフなんて覚えなくていいから、
もっと発想を広げようということで、
「マクベス」を使って、１時間半ほど、みんなでしゃべってみました。

「殺意って？」
「出世欲って？」
「野心って？」
みたいな、ことですが、
シェイクスピアの時代から遠く離れた今でも、
人間の気持ちって、そう変わらないんだなと思ったりします。
でも、やっぱり変わってる部分もいっぱい。
そういうのを、みんなで意見、考えを出し合ってみるのです。

たまたま平田オリザさんの対話についての本を読んだばかりだったこともあって、
もっと、こういう意見を出し合う時間を大事にしたいなと思いました。
所詮、自分の考えなどは、小さなものですが、
人から聞くことで、気が付くこと、たくさんありますね。

ここで、難しいのは
価値観のある程度固まっているシニア世代に、
柔軟な心の揺らぎを求めることです。
「人間とはこういうものだ」とか
「この時代はこういうものだ」
という、お勉強から発展したような物になりがちなのですが、
「マクベスが抱いた殺意を、自分が抱くときって、
どういうときかな」とか、
「マクベスって、毎日何食べてたんだろう。」みたいなことが
沢山語り合えるといいなと思いました。
本を読んだり、話し合ったりするときに、
一度、自分のなかの蓄積を、まっさらにできる・・・・
そういう心の余裕というか、ゆとりというか、
まだまだ知らない他者のこと、他国のことを受け入れられる
揺らぎのような、遊びのような部分が
役を考えるときには必要なのかなと、
今日、みんなを見て感じました。

ディスカッションの後で・・・・

長セリフ、一人で演じるのは大変だから
皆で割って、演じてみました。
５人のマクベスと８人のマクベス夫人が
殺人を企てましたよ。
そりゃ、恐ろしく面白い「マクベス」でした。
来週はもう少し発展させます。