ご利用規約プライバシーポリシー運営会社お問い合わせサイトマップRSS

[川の生き方・僕の生き方] 記事数:21

< 次の記事 | 前の記事 >

なんでだろう??

このエントリーをはてなブックマークに追加

大正14年に芦ノ湖に食用とスポーツフィッシング目的で輸入されてからそろそろ100年になろうとしてる「ブラックバス」スズキ目サンフィッシュ科に属する外来魚。
1990年代から害魚の筆頭として様々なメディアを賑わせている。

なぜここまでフォーカスされる存在になったのだろう??
なんとなく害魚論争も沈静化している今だから、もう一度客観的に整理してみないと!

まず「外来魚=害魚」かどうかに関してはどうだろう?
レットデータバンクや固有種の保存の観点からは当然害魚にあたるよね。
でも外来魚ってどのくらい居るんだろう??
冷水性でいえば
レインボートラウト(虹鱒)ブラウントラウト・レイクトラウト・ブルックトラウトなどのトラウト類はほぼ全てが外来種にあげられて、全ての種は成魚になると河川や湖のワカサギ・カジカ・イモリ・サンショウウオ・モリアオガエル・もちろん昆虫など食べていて、あきらかに希少種も含めて主食にしているけど害魚論争の軸にはならないよね。なんでだろう??

「身近」な湖沼・河川でいえば
ブラックバス・ブルーギル・雷魚・アメリカナマズ(キャットフィッシュ)草魚・レン魚・青魚そして信じられないだろうけど鯉までが正確には外来種(鯉は輸入時期があまりにも古く固有種かな?)。もちろん綺麗なタイリクバラタナゴ・大タナゴ・かだやし(グッピーの原種)も例外なく外来種。その他アメリカザリガニ・ミシシッピーアカミミガメ(みどり亀)もね!

39年も生きている僕だってネイティブ(野生)のイシガメやクサガメは見たことない(千波湖に逃がされたのはあるよ!)

ちょっと話がそれるけど
僕が10年ほど前にフロリダに行ったときは、フィールドガイドの方が「カープ(鯉)には非常に困っている」って言っていた。それこそ僕の中で最初は訳が分からなかった。単にアメリカ産の魚を擁護しているのかな~~って思っていた。
でも科学的データの好きなアメリカ人いわく
「雑食性が強く大きな鯉は、酸素を供給する水草の新芽を食べて他の魚の卵を根こそぎ食べて水質改善する貝類を食べて、何よりも1匹あたりの糞尿のアンモニア量が多く出るから困る」というのだ。
日本とは比べ物にならないくらい自然保護や環境にナーバスな「エバーグレーズ国立公園(広大な湿地帯)内」のガイドの話だから本当なのだろう。一方でアングラー(釣り人)に対する社会的意識は極めて高くバスプロなんていったら普通に目の青い子供達にサインを求められるほどだ。
ま~ミドルクラスからアッパークラスの生活者はサマーホリデーで、家族でバスフィッシングをすることがライフサイクルに組み込まれている社会だから当然かもしれないが、自然との関わりを、フィッシングを通じて教えているのだ。
僕は2週間ほどの滞在で、全ての日程を湖上で過ごしたけど、数々のマリーナ周辺以外にはコンクリート護岸は一切見当たらない。日本の四国ほどの広大なエリアのほとんどがそのままの状態で維持されている。パーチやシャッド(小魚類)も豊富に泳いでいて人影を見せると瞬時に水草やシェード(影)に隠れる。もちろんマナティーやワニまで普通にみられる場所でも小魚が食べられすぎて減ったなんて誰も言わないし考えもしない。それが自然だから。

さてココから本題に戻り批判覚悟で書いてみよう。
知っている人は知っているとおもうけど、単に外来種の中で1番問題になるべきは「ブルーギル」なのだ。肉食性の強い雑食だから、他の卵も稚魚もバクバク食べちゃう。繁殖力もバス以上。数十年という短い期間で日本のほぼ全てに蔓延したといっても過言ではない。でも不思議なことに各メディアはバスをメインに取り上げる。なぜだろう??
理由はブルーギルを輸入したのは昭和天皇時の皇室だから。今となってはこの話題を取り上げることに何の意味も無いけど。背景としては外せない要因かもしれない。

利権(お金)を軸に話をすれば
90年代に外来魚駆除の予算化が始まり、ある県では昨年と漁獲高の減収分を予算で補ったため申告により補助金がでたのです。(まじめに漁をしたのかな・・?)
一方で、富士五湖や野尻湖・桧原湖などいくつかの自治体ではバスを魚種認定したことで、釣り券収益だけでも億単位の売上げに倍増させました。今はバスを養殖して放流して安定収益の柱にしています。
つまりは、バスが「有益だ~」もしくは「害魚だ~」って騒げばお金が落ちる時代なのです。本来ならば日本で2番目に大きい霞ヶ浦でもバスを有益な魚として認定すれば、すごい金額が管理団体(漁協とか)に落ちるんだろうけど、霞ヶ浦・北浦は法的には外水面(海扱い)で釣り券が取れない場所。必然的に害魚として見られてくる。もし全国1000万人以上居ると言われている釣り人から徴収できれば、その費用で護岸の浜化や水生植物の増殖・保護水面の管理など「活きたお金の循環」ができると思うけど。いまはそれぞれの意識が別なほうを向いている。今後もクリアーするには難しいかな。

でもほんとうにブラックバスって不憫な魚だ~・・・。結局生活圏が人間の生活圏と重なったためにニュースになりやすかったこと。あわせて自転車で遊びが成立する子供たちにも手が届く遊びだったこと。資金のある大人たちも嵌ったこと。偽者のルアーにさえも果敢にアタックしたこと。引きが強くファイトが派手だったこと。

僕は科学者じゃないから種の保存のために外来種を全て駆逐するなんて考えには至らない。
外来種が居ても固有種が維持繁栄できる環境の整備こそがこれからの考えだと思う。
だって1匹残らず駆逐するなんて無理なことは素人でも分かるし
仮に池や湖を空にしてもその上流や水路からいずれ流れ込んでくるからね。

なにより、今の子供たちにとっては自然と触れ合う機会の対象がアメリカザリガニやブラックバス・ブルーギルでもいっこうに構わないはず。重要なのは自然と触れ合うキッカケとして身近な存在はどの魚かってこと。

例えが変かもしれないけど、これからの時代に日本に居る外国人とは遊ばせません!なんて親も居ないでしょ。

それよりも大事なことは、何で小魚が安心できる環境(水草や隠れ家となる地形)が減ったのか?に目を向けるべきだし、その原因もハッキリしているんだから、後は「やり方を整理して」動くだけなんだ。

先日(9月かな?)国土交通省が始めて日本の河川工事に大きなミスが『担当者』の誤解によりはっきりした。9000億円が無駄な事業だった。と認めました。ニュースとしては小さなものとして流されましたが、掘り下げるに値するニュースだったはず。蛇行する河川を直線に変え、全てをコンクリートで固めたことに関して無駄だったということだけど、解説では国土交通省ではなくてその「担当者のミス」という表現を盛り込んでいるあたりがなんともやりきれない。

そうそう、このブログを見ている方で農家を営んでいる方がいれば、是非にもトライしてほしいんだけど休耕地に水を張って冬場に抜かないでほしいのです。いろいろ面倒なことがあるのかもしれないけど「田んぼビオトープ」というやり方は1番費用を掛けないで固有種の復活が出来る方法だから。水深20センチの奇跡があなたの田んぼから起きるかもしれません。

最後に、涸沼・那珂川水系ではブラックバスの害魚論争は、本来は論点がズレた話になることを分かってほしいのです。冒頭にスズキ目という話をしたけど、那珂川では3月から天然遡上の鮎を追って60センチを超えるスズキの大量の群れが茂木(栃木)のほうまで遡上します(半数は藤井川の合流でUターン)。スズキも当然フィッシュイーター(小魚を食べる魚)ですから1匹あたりの小魚消費量はブラックバスなど比較するどころではありません。
7月ごろからイナッコ(ボラの幼魚)を追って涸沼本湖に押し寄せるスズキの数も数えられる量をはるかに凌駕しています。だからシーバスフィッシングでルアーマンが押し寄せるんだけど・・。
すなわち海と繋がっている河川や湖の場合はバス議論する定義が存在しないのです。

今回は画像無し、イメージで楽しんでください!!

Trackback(0) Comments(4) by マーサカワマタ|2007-12-25 10:10

▽コメント▽
Commented by 金魚 12/26 17:07

私のコメントを受けての記事なら光栄です。ご指名ですので、あえてマーサさんの方が知識も問題意識もあるのを承知で反論めいたコメントをします。思いつくままのまとまりの無い長文失礼します。
>外来魚=害魚  所詮人間の視点。もちろん魚に罪は無い。当然場所が変われば定義が変わる。ゆえに在来種より外来種のほうが悪者になる確立が高い。食用になる魚に批判が少ないのも人間の都合。
したがって私は外来種=害というつもりはない。外来種が長い時間をかけ生態系の一部となることもあるでしょう。それも含めて自然だと思う。
ブルーギルとブラックバスの比較はナンセンス。ブルーギルの害は他種の放流を擁護するものではない。私にマーサさんほど知識がないためマスコミによく登場するブラックバスの名を出したのは事実。でも私が問題とするのはブラックバス個種ではなく違法放流(法の問題でもないが)であることはご理解いただきたい。
マスコミ・行政に対する批判や有効な環境保護活動の啓蒙は大事。どんどんお願いします。
>種の保存のため外来種を駆逐するなんて考えに至らない。  これは同意します。
>外来種がいても固有種は維持繁栄できる環境の整備がこれからの考え  一歩間違えれば誤解を招く表現では?あくまで外来種の持ち込みは禁止し、すでに駆逐できない結果を受けての環境の整備が急務というなら分かります。
確かに私もアメリカザリガニとふれあった世代だけど、自然とのふれあいって何だろう?
私は親として子供の世代に今ある自然をそのまま引き継ぎたい。でも人によっては今より魚の釣れる川や湖を残したいってことか・・・
私はアウトドア派では無いので手つかずの自然が理想です。知床や屋久島なんて行きたいと思わない。
イギリスのように人が手を加えて自然がなくなっても、環境としては良いものが残るということもある。山林なんかも人が手を加えることで保全できる。でも私が言いたいのは一度無くした自然をもとに戻すのは並大抵ではないということ。慎重すぎることは無い。
思いもよらない結果を招くこともある。カエルの身に迫っている危機についてマーサさんなら私よりもくわしいのでは?
(外国人云々は蛇足。国が移民を多く受けいえたら差別的な親は逆に増えると思う)
マーサさんには行政の問題点や環境保全の方法論をもっと教えてほしい。マーサさんのような方が増えたらきっと良い方向に向かう。
私自身考えるきっかけをいただき感謝しています。私なりに勉強していこうと思います。
ご指導よろしく。
PS やっぱり釣った魚(稚魚はにがして)は食べようよ。可愛いそうなら釣るな!は変わりません。

Commented by 金魚 12/26 17:39

言い足りなかったので補足します。
批判覚悟で極端な例を  仮に技術の進歩でパンダの生息できる環境が作れるようになったとします。そこでパンダを八溝山あたりで繁殖に成功して。遊歩動で子供達が野生のパンダとふれあうことができるようになったとして嬉しいですか?子供は喜ぶだろうけど。
何でこんなことをいうかというと、日本には日本の自然のあり方があると思うのです。

Commented by 金魚 01/04 16:47

あけましておめでとうございます。1つ訂正です。以前紹介した映画はダーウィンの悲劇ではなく、ダーウィンの悪夢でした。年末の番組でとりあげられていて気づきました。

Commented by まーさー 01/07 10:23

◆金魚さ〜〜ん
ご指名コメントありがとうございます!!
ボリューム一杯なので僕の引き出しがなくなりそうです!?
それぞれの立ち位置で見解が変わってくるのは当然ですね。
この返信で一つ一つ「?」に回答することは避けますね。
→コメントがブログ本文みたいになっちゃうから。
これからも現状認識でブログUPしていくので
定期的に遊びに来てください!!

でも1点だけ、パンダの話じゃないですけど、
日本で絶滅した「コウノトリ」はロシアの鳥さんを使って
再生事業が成功しようとしています。
それも地域自治体(具体的には周辺農家)の大きな大きな協力
(最小限の農薬と田んぼの水張りなどでドジョウなどの餌を増やす)で。

一口に自然といっても「いつ?」の時代をベースに考えるかで
答えが多様に出てきます。
おそらくノスタルジックな高度成長と引き換えに失われた自然が
古き良き日本の自然とイメージするものだと思いますが、

あるひとは「きつね」がいたときがベストと言うかもしれない。
あるひとは「日本オオカミ」が居たときというかもしれない。
あるひとは「マンモス」が居たときこそが自然の共生としては
最高だ。というかもしれない。

過去に戻ることが出来ない以上「今」が日本の自然なんだと思います。
蛙のツボカビも入った以上は根絶することの出来ない菌。
結局人間の「欲」がおこした所業です。

だからといって人間が人間である以上は「欲」を消すことは
できません。世界的流通を止めることも出来ません。
だからこそ「今」を受け入れた上で、
良い進歩・進化を模索するしかないと考えています。

これからも率直なご意見よろしくお願いします!


□この記事のリンク元

[川の生き方・僕の生き方] 記事数:21

< 次の記事 | 前の記事 >

ゆたりブログ



「ゆたり」は時の広告社の登録商標です。
(登録第5290824号)